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神魔とは

 前項「1.1.神と悪魔、天と鬼の関係」で述べたように、統合神話学でいう「神」とは、唯一神のみを指すのではなく、もともと神として崇められた時期があったものや別の神話や宗教では神であった悪魔も含まれています。また、「魔」という言葉は、悪の化身を意味するものだけではなく「神と呼ばれているもの以外の超存在」のことを指しています。

 このことを踏まえると、統合神話学でいう「神魔-symma-」とは、単に神か悪魔かという意味を持つのではないことがわかります。つまり、「神魔」とは、人・動植物以外の超自然現象を起こす生物や非現実的存在の総称として、言語的に表現したもの、という定義なのです。また、神魔は「symma」と表記します。

 

「sym-」の言語の意味

 象徴(symbol)や対称(symmetry)という言葉に注目すると、「sym-」という部分は「一緒の・共に」という意味があります。symbolは「一緒に」+「投げる」の意味でできている単語であり、そのもう一つの言葉と一緒にくっつけて投げるもの、という言葉になることから「別表現」や「象徴」といった意味を持つようになりました。また、symmetryは「同じ」+「尺度・時間空間を測る」の意味でできている単語であり、「対称」・「調和」・「釣りあい」・「同情」といった意味を持つのです。

 「神魔」は、この「sym-」に「しかし・だが」といった逆説意味や「自分のもの・私の」の意味を持つ「ma」をつなぎあわせた「symma」と表記します。各々の価値を確立するのに、人は神魔に何かを象徴させ他の神魔と関連付け調和しあうことで神魔を存在し続けてさせていきます。つまり、神魔は人に依存した超存在であるのです。彼らは人類の各時代の認識や目的によって、姿や能力を維持したり変化したりしているのです。

 

 このことから、今まで1つの宗教をもとにこの超存在は悪魔だとか天使だとかと分類し見分けていたものも、複数の思想や世界観の存在を受け入れたうえで超存在を見つめ直していく新しい視点(➃つめの視点:統一性追究)が必要であることが感じられるのではないでしょうか。この新しい視点をもって神魔の再分類や再配属をしていくことが今後の課題となります。

 これが、統合神話学(神魔学)の意義の1つなのです。

 

 統合神話学による神魔の分類においては、唯一神の意味をもつ「神」やそれに対となるような意味を持つ「悪魔」という言葉で正式に分類できないのです。この問題を解決するために、種族分類においてはこう言った意味を持つ神や悪魔という分類表現は使用しません。また、統合神話学(神魔学)の視点で、一つひとつ見直しながらその神魔同士の関連性や相互性を理解していくことが、神魔を「種族」として再分類する際に、必要になっていきます。

 (種族については別の節、1章3節にて解説しています。)