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死後の仏教神魔について

~閻魔大王と仏教世界の冥王たち~

 六波羅蜜寺の閻魔王像をみて、冥府の王は結構いたなと思い出しが、たしか、別に有名だからといって1番目ではなかった気がした。そこで、六波羅蜜時の資料館の人に聞いてみたところ、5番目の35日目にあたるらしい。以下に、「十王」をはじめとする審査神魔、彼らが担当するものが死後何日の人なのか、また何をするのか、ついてまとめた。

 

Ⅰ①7日(初七日):秦広王(不動明王)、「獄録」による書籍審査

 ②14日目:初江王(釈迦如来) (三途の川がある。渡る箇所…三水の瀬・江深の淵・奪衣婆橋)

 

Ⅱ③21日:宋帝王(文殊菩薩)、猫・蛇による邪淫審査。

 ④28日:五官王(普賢菩薩)、妄語判定

 ⑤35日:閻魔大王(ヤマ・地蔵菩薩)、浄玻璃鏡による裁きと嘘をついた者の舌抜き

 

Ⅲ⑥42日:変生王(弥勒菩薩)

 ⑦49日:泰山王(薬師如来)、六道転生(六つの鳥居がありいづれかの門を通過)

 

Ⅳ⑧100日:平等王(観音菩薩)

 ⑨一周忌:都市王(勢至菩薩)

 ⑩三回忌:五道転輪王(阿弥陀如来)、追加審査

 

Ⅴ⑪七回忌:蓮華・蓮上王(阿閦如来)

 ⑫十三回忌:祇園・抜苦王(大日如来)

 ⑬三十三回忌:法界・慈恩王(虚空蔵菩薩)

 

 ここでは、冥王として君臨しているというよりは、生者が死後どうするかを判断するための審査員としての神魔である。また、①~⑩のを冥界の十王とすることはあるが、詳しくは、13の神魔が君臨しているとされている。審査の過程を、段階として区切る場合、上記のⅠ~Ⅴに分けることができた。

 

Ⅰ:本審査前の仮審査のようなものが三途の川の前までに行われ、名簿内の対象者かどうか確認(メイン:釈迦)

Ⅱ:生前の邪淫や生活態度・真偽などの審査(メイン:閻魔)

Ⅲ:審査をもとに転生場所を決定(メイン:薬師)。

Ⅳ:六道転生場所決定しない場合の追加・臨時審査(メイン:阿弥陀如来)。

Ⅴ:審査がおわり転生後、本当にそれでいいか又は生者の要望等での見直し審査(メイン:???)

 

 仏教のヒエラルキー(天部<明王<菩薩<如来)から考えると、明王あるいは菩薩の次に如来へとの流れの「部下→上司」の区切りでみると、ⅡとⅤについてはできなかった。しかし、元インドの神ヤマでもある有名な閻魔大王が入っているⅡ、十王には入っていないⅤということもあるので、なにか特殊な関係がそこにはあるのかもしれないとも考えられる。

 

<感想>

 閻魔大王というとそこまで菩薩・如来・明王・天部などと関わりなさそうに聞こえるが、調べるとかなり密接な関係で、よく聞く釈迦如来とか弥勒菩薩とかほとんど知っているメンバーであった。 同じ六波羅蜜寺の話で、四天王は北の多聞天しか子供がいない、というのを聞いた。鞍馬のほうに家族セットのものがあるとも言っていた。その妻というのが展示してあり、それが吉祥天ならしい。しかし、吉祥天は元女神ラクシュミ(―)なので、イメージは三神の一柱である維持神ヴィシュヌが夫かな(インド神話だと)、と思っていたが仏教ではまた別の説があるのということがわかった。

 結構、ところどころ寺の小規模なところに弁財天(水の女神サラスヴァティ)関連が多いと感じ、七福神の中では毘沙門天(多聞天)よりも人気なのだなと考えられる。 浄土寺では「八幡菩薩=阿弥陀如来」ときき、驚いた。また、八幡は「神道」で、神社の鳥居もあり、神仏習合の絶妙なハーモニーを感じた。五鈷杵をみて、インド神話の英雄的雷神インドラの持ち物の金剛杵ヴァジュラを思い出し、見た瞬間「ヴァジュラか?」と思ったら五鈷杵と説明されたので気になって調べたら、金剛杵にも種類があり、独鈷杵・三鈷杵・五鈷杵などがあることを知った。それならば、ヴァジュラは「何こしょ」なんだろうと疑問に思った。 浄瑠璃寺では、如来や菩薩ごと方角と担当・意味があり、9段階すべて行けないという考えの下、各段階に必ず阿弥陀如来がいるように9体用意するという発想自体が本当に興味深い。大着なんだか細かいんだか…。